【実務】血小板から始める関連付け勉強②【薬剤師国家試験・CBT】

血小板の凝集機序薬学生

どうも、奨学金1500万プレイヤー阪大生のPEN(@PENwitmi)です。

 

薬剤師国家試験を乗り越えるために大切なのは、関連付けと深い理解です。

一つの項目を問われたとき、他の項目がどうだったかなども同時に確認をする習慣をつけていくと、定着力がアップします。

 

今回は、抗血小板薬の「実務」を中心に考えていきましょう。

もちろん、「前回の記事」で確認した薬理や生物の知識についても、逐一覚えているかどうかチェックしてみてください。

オススメは、前回の図に手書きでメモを書き足していくことです。

 

まだ薬理作用を確認できていない人は、まずはこちらから確認してみてください。

 

 

薬剤師国家試験の勉強法noteを公開しました。

薬剤師国家試験はもちろん、CBTの勉強にも使える勉強方法をnoteで公開しました。(2022.1.19、更に1611文字追記しました)
模試のやり直しの方法、過去問演習のやり方、時間がないときにやるべき勉強など、薬学生必見の情報をまとめています。
ぜひ一度ごらんください。

まずは医薬品の商品名を確認

実習中に何度も見た薬かもしれない

 

「青本や過去問で薬の名前を見ても、全然イメージが沸かない」ということもあるかもしれません。

 

薬学生と現場の薬剤師の一番の違いは、薬そのものへの慣れ親しみです。

薬剤師の場合だと、新しい知識に出会ったときに

「あぁ、あの薬のことね。そんな注意事項があるのか」
「あの患者さんが飲んでいた薬だな。覚えておこう」

というように、薬そのものに慣れ親しみがあって、サクっと覚えることができたりします。

 

国家試験で同じように覚えやすいことがあるとするなら、例えば家族(もしくは自分)が飲んでいるだったり、実習中に何度も出会った薬だったり、何かしらの接点が必要です。

 

もし少しでも接点があればいいな、ということで、抗血小板薬の商品名を書いておきます。

商品名を見たら、実は知っていた、みたいなことがあるかもしれません。

 

抗血小板薬の商品名

 

<抗血小板薬の商品名>

ベラプロスト→プロサイリン
サルポグレラート→アンプラーグ
シロスタゾール→プレタール
EPA(イコサペント酸エチル)→エパデール
アスピリン→バイアスピリン、バファリンA81、バファリンA330など
チクロピジン→パナルジン
クロピドグレル→プラビックス
プラスグレル→エフィエント

 

どうでしょうか、見慣れた薬はありませんでしたか?

もしあれば、そういう慣れ親しみやすい薬からマスターしておきましょう。

 

もちろん、薬理作用も確認しておいてくださいね。

抗血小板薬の作用機序

 

手術前の休薬期間(実務)

 

さて、抗血小板薬はいわゆるハイリスク薬の一つですので、国家試験でも様々な注意点について問われます。

 

暗記で代表選手なのが、休薬期間ですね。

細かい数字でもいいですし、おおまかな傾向を掴む、でも大丈夫です。

まず一通り見ておきましょう。

 

<抗血小板薬の休薬期間>

ベラプロスト、サルポグレラート、オザグレル:1日
シロスタゾール:3日
(ワーファリン:5日)
アスピリン、EPA:7日
チクロピジン、クロピドグレル、プラスグレル:14日

 

(ワーファリンは抗血小板薬ではないですが、ついでに覚えた方がいいので入れてしまっています)

 

まず覚えておいてほしいことが、アスピリンとチクロジピン、クロピドグレル、プラスグレルは、PCIのステント治療を実施した患者に使用します。

これらの薬は休薬期間が長いということを押さえておきましょう。

 

それ以外の薬は、3日以下が多いです。

EPAは特例で休薬期間7日です。(逆に覚えやすいかもしれません)

 

私は、シロスタゾールなど3日以上の休薬期間が必要な薬を覚え、覚えていない薬は1~2日くらい、という解き方をしていました。

そうすると覚える量は激減します。

これは他のいろんなところで使えるテクニックなので、習得しておいて損はないと思います。

 

「アスピリン、クロピドグレルの休薬期間はそれぞれ何日?」

 

重要な注意事項

ブルーレターやイエローレター以外にも、様々な出題あり

 

ハイリスク薬である抗血小板薬には、休薬期間以外にも様々な注意事項があります。

イエローレターやブルーレター以外にも、相互作用や用法用量などですね。

最低限覚えておきたいものを独自基準でピックアップしてみました。

 

ちなみに、ブルーレターやイエローレターの覚え方にはコツがあります。

イエローレターの薬剤リストを見ていくよりも、一つ一つの薬が出題されるたびに注意内容を思い出す方が覚えやすいです。

 

これも関連付けの効果ですね。

表形式で覚えるのは、どんな内容であってもあまりオススメできません。

 

シロスタゾール

 

さて、まずはシロスタゾール(商品名:プレタール)から見てみましょう。

実務に注目する前に、薬理などを思い出すところからです。

 

シロスタゾールの薬理作用は何でしょうか。

そう、PDEⅢの阻害による、cAMP濃度の上昇ですね。

 

抗血小板薬であるシロスタゾールは、主に動脈の血栓に使用します。

なので、静脈血栓塞栓症に適応がありません。(第105回出題)

 

またシロスタゾールは一応CYP3A4と2C19の基質なんですが、出題頻度はあまり高くない感じですね。

第97回で、2C19の阻害薬であるオメプラゾール(商品名:オメプラール)と併用することで作用が増強することが出題されています。

 

あまり出題頻度が高くないこんな話をわざわざ出すからには理由があって、このオメプラゾールが後でまた登場するからです。

伏線として頭の片隅に置いておいてください。

ちなみにオメプラゾールはPPIです。さすがに大丈夫ですね。

 

チクロピジン

 

まず、チクロピジン(商品名:パナルジン)の薬理作用はなんでしょうか。

すぐに思いつかなくても大丈夫ですが、考えたら思い出せるようにしておきましょう。

ADP受容体の一つ、P2Y12受容体の阻害薬でした。

 

チクロピジンは、その後にどんどん改良版の薬が出ている中の元祖です。

なぜ改良版が開発されたかというと、シンプルに使いにくいからですね。

 

その最たる理由が、イエローレターの内容でしょう。

チクロピジンは副作用としてTTP(血小板減少性紫斑症)、無顆粒球症、肝障害が報告されており、2週間に1回の血液検査を2か月間実施することが求められています。

 

イエローレターが出るほど重篤な副作用があるので、気軽に使える薬ではありません。

しかし、PCI治療などでの血栓予防にはこの薬理作用は欠かせません。

 

そこで開発されたのが、次のクロピドグレルですね。

 

クロピドグレル

 

クロピドグレル(商品名:プラビックス)はチクロピジンよりも副作用の頻度が下がり、同じ薬理作用でも随分使いやすくなりました。

しかしクロピドグレルにも弱点があって、それがCYPの遺伝子多型です。

 

クロピドグレルは2C19で代謝的活性化を受けます。

重要なのは、代謝的活性化を受けるプロドラッグなので、2C19を阻害するとクロピドグレルの効果が弱くなってしまうことです。

 

さて、2C19と聞いて何か思い出しませんか?

さきほど、シロスタゾールのところでも登場しましたが、シロスタゾールは2C19の阻害で血中濃度が上昇してしまいます。

つまり、2C19を阻害したときにおこることが逆なんです。

 

更に思い出しておいてほしいのは、2C19の阻害薬です。

オメプラゾールをしっかりとここで連想できるようになればOKですね。

 

オメプラゾールとの併用で、シロスタゾールは効きすぎる。(出血リスク)
オメプラゾールとの併用で、クロピドグレルは効かなくなる。(血栓リスク)

 

「クロピドグレルの代謝酵素は?」

 

プラスグレル

 

プラスグレル(商品名:エフィエント)は、クロピドグレルから更に改良を加えられた薬です。

CYPの遺伝子多型や活性阻害の影響を受けないので、その点ではクロピドグレルよりも使いやすいのかもしれません。

 

しかし、プラスグレルは用法がしっかりと決まっているため、しっかりと覚えておく必要があります。(第105回で出題)

 

プラスグレルは開始用量として20mg、維持用量として3.75mg、というのが基本です。

(50kg未満の低体重患者では出血などのリスクが高いため、2.5mgが維持用量になることもあります)

ちなみにほとんどの場合、アスピリンと併用します。

 

さぁ、ここから先が、以前も出題されている重要な内容です。

PCI施行前に本剤3.75mgを5日間程度投与されている場合、初回負荷投与(投与開始日に20mgを投与すること)は必須ではない。本剤による血小板凝集抑制作用は5日間で定常状態に達することが想定される

 

つまり、初回負荷投与(20mg)はいち早く定常状態の濃度にもっていくためのものなので、すでに定常状態にある患者さんでは、3.75mgを継続するだけで大丈夫です。

 

ここまでしっかりと理解していないと解けない問題が、国試には出題されています。

抗血栓薬はハイリスク薬なので、細かい知識も問われる傾向にあるんですね。

 

ワルファリン(抗凝固薬)

 

ワルファリン(商品名:ワーファリン)は抗血小板薬ではなく、抗凝固薬です。

抗血小板薬は、動脈の血栓。

抗凝固薬は静脈の血栓に使う薬でしたね。

まずこの違いは絶対に覚えておいてください。

 

さて、そんな一見無関係なワーファリンですが、わざわざ登場させるのには当然理由があります。

 

まずワーファリンの代謝酵素は2C9で、シロスタゾールやクロピドグレルの2C19と間違えやすいです。

2C9の阻害薬はシメチジンなどがあります。

(何度でも言いますが、2C19の阻害薬はオメプラゾールです)

 

ワーファリンにはブルーレターが出ていて、抗リウマチ薬のイグラチモド(ケアラム)でワーファリンの作用が増強されるため併用禁忌となっています。

禁忌と言えば、ワーファリンにはビタミンKが当然禁忌ですが、ミコナゾールも禁忌になっています。

 

またこれも抗凝固薬ですが、ダビガトラン(商品名:プラザキサ)にもブルーレターで、腎不全患者で重篤な出血があることを注意喚起されています。

ダビガトランは手術前の休薬期間1~2日で、特異的中和薬のフォンダパリヌクスがあることで有名ですね。

 

まとめ

 

さて、抗血小板薬の話から、少し脱線して抗凝固薬についても紹介してしまいました。

抗凝固薬にも、まだまだ様々な実務的な注意事項があります。(減量の基準など)

もちろん、薬理作用も確認しておく必要もありますね。

 

ややこしいので敢えて触れていませんが、他にも関連付けできることと言えば、チクロピジンを例にするだけでも、

「定期的に血液検査が必要な薬は他に何がある?」
「無顆粒球症の自覚症状は?」(第100回)
「TTPは自己免疫疾患としても知られているが、その原因となる酵素は?(そもそもどういう疾患?)」

 

…というように、無限に知識はつなげていくことが可能です。

(答えは宿題ということにしておきます。調べてみて、関連記憶に入れておいてください)

 

1:1の暗記をいくら増やしても、どんどん抜けていくだけで終わってしまいます。

1つの内容から一気に10以上の項目を思い出せるようになれば、国家試験本番でも答えにたどり着けることが多くなるはずです。

 

ぜひ自分でもいろんな知識を関連付けた図を描いてみてください。

オリジナルの図を完成させるころには、しっかりと記憶に定着しているはずです。

 

また、覚えたことの復習法としては、メモ帳勉強法がオススメです。

こちらの記事もぜひご覧ください。

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薬局薬剤師(管理薬剤師)/個別指導講師(高校生・薬学生)/メンター業/kindle書籍作家/マルチブロガー

家庭の事情で家から独立し、大学中退・再受験で奨学金1500万円を超える苦学生時代を経験。当ブログでは「薬学」「奨学金」「金融リテラシー」「仮想通貨」を発信。他複数のブログを運営。薬学生の国試対策の相談受け付けています。

大阪大学薬学部薬学科首席入学。
個別指導塾講師歴10年。
TOEIC公開テスト 925点。実用英語技能検定準1級。
著書『塾講師のいろは』『奨学金1512万でも破産せず幸せに生きています。』

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