どうも、奨学金1500万プレイヤー阪大生のPEN(@PENwitmi)です。
当ブログでも何度か紹介している薬がみえるシリーズですが、ついに続編のVol.4が発売されました。
これまでの薬がみえるシリーズは、「病態・薬物治療」の勉強にとても役立つものでしたが、逆に言うとそれ以外の範囲のカバーが出来ていませんでした。
今回発売されたVol.4は、「薬力学」「薬物動態学」「製剤学」が中心になっており、これらの単元の勉強に役立つものになっています。
薬学生だけではなく医療人も対象にしている本なので、すべてが国家試験の範囲というわけにもいきませんが、青本の補助教材としては非常によいものだと感じました。
この記事では、私が実際に買ってみて感じた、『薬がみえる Vol.4』を国家試験対策に使うにおいて良い点と悪い点について紹介しようと思います。
薬が見えるVol.4の良いところ
イラスト・写真が多い
薬がみえるシリーズ全体に通して言えることですが、イラストなどが多くて非常に見やすいです。
カラー印刷で写真も多いため、青本よりも見ていて眠くなりにくいです。
青本はどのページを開いても同じに見えるくらい単調なので、これは大きな違いだと感じました。
実際の医薬品の名前や写真が登場する
薬学生としては一長一短ではありますが、薬がみえるVol.4には医薬品の商品名も登場します。
薬局や病院実習にもう行った人はわかると思いますが、ほとんどの医薬品には一般名と商品名があり、その両方を使いこなす必要があります。
青本や国家試験には商品名は登場しないので、実務の場に出てから改めて覚えなおしていく必要があるのです。
しかし、そのうちの少しでも商品名を国試対策の時点で覚えておけば、「あぁ、あれのことね」というようにすぐに知識と結びつけることができます。
例えば、「リバスチグミンは漸増して用いる」と考えるよりは、「イクセロンパッチはに4.5、9、13.5、18mgがあったなぁ」と考える方がはるかに覚えやすいです。
実習で学んだことや経験したことを活かすには、少しは商品名も覚えておくのが良いと思います。
持ち歩きやすい量・デザイン
この記事を読んでいる多くの人が既に身をもって体感していると思いますが、青本などの国試対策本は非常に分厚くて重いです。
カバンに2冊も入れようものなら非常に重い荷物になります。
薬がみえるVol.4は、青本に比べると約半分くらいの分厚さしかないので、カバンに忍ばせておけるギリギリの重さです。
(それでも一般的な本よりは重いですが、薬学の教科書としては全然普通のサイズ感になります)
また、見た目も青本と違って国家試験用の(かわいげのない)デザインとは違い、普通の書籍という感じです。
これは社会人になってから大きなアドバンテージになります。
つまり、卒業してからも気兼ねなく使えるということです。
職場に持って行っても違和感は少ないですし、本棚にあっても全く違和感がありません。
薬物動態学の公式の導出がわかりやすい
非常に細かい点ですが、薬物動態学の式の解説が青本よりも分かりやすいと感じます。
例えば、線形1コンパートメントモデルの式の辺りの解説です。
どの式に、何の式を代入した結果そうなったのかが、きちんと書かれています。
公式は最終的に暗記するでもいいのですが、最初はきちんと導出しておくと遥かに理解が深まります。
その導出・理解の段階で役に立つだろうなと感じました。
ただ、個人的にはさらにこの部分の解説が充実していたらよかったのにとも思います。
多くの薬学生が躓くところでもあるので、ここだけはボリュームを2倍にしてでも解説を増やす価値はあったように思います。
とはいっても、80点か100点かみたいな差なので、これはこれで十分いいと思います。
薬が見えるVol.4の悪いところ
国家試験に特化していない
これは当たり前なのですが、国家試験対策の参考書ではないので、試験にはあまり出ないような内容も書かれています。
例えば、小児に投与する上で注意すべき薬物であったり、高齢者であったり…。
とは言っても、薬剤師国家試験はどんどん傾向が実践的になりつつあるので、いつ出題されてもおかしくない内容です。
というか、実践の場に出るにはめちゃくちゃ重要な内容なので、やっておく価値は十分にあります。
教科書の勉強は実践では役に立たない、なんて言われたりしますが、この本はその溝を埋めてくれる存在です。
計算問題がない
試験対策のために作られた本ではないので、練習問題のようなものは一切載っていません。
選択問題はもちろん、計算問題などもないので、演習は別の教材を用意する必要があります。
ただし、書籍の中に書かれているURLからサイトにアクセスすると、問題は一応用意されています。
個人的には、問題は別に用意しておいた方が勉強効率もよく荷物も減るので、こっちの方が好都合だと思っています。
教材一冊で、開設から問題まですべて完結させたい人には注意が必要です。
もう一歩砕けた解説がほしい
医療人をターゲットにしているためか、一般人には伝わらないだろうなという表現のまま残っていることがたまにあります。
実習に一度行った薬学生であったり、CBTの勉強中である学生であれば使えると思いますが、薬学部の1年生がこの書籍だけで勉強するのは少し難しい気がします。
(1年生が独学で勉強しやすい教材なんて、そもそも今までみたことありませんが…)
総評
くすりが見えるVol.4は、高校でいうところの資料集のような位置づけです。
勉強する上でこの本を参照すると、非常にわかりやすくなることが多いと思います。
青本などに追加して使う補助教材として、自分で付箋などで情報を付け足したりカスタマイズすれば、かなり優秀な参考書になると思います。
薬力学、製剤学、薬物動態学などの勉強が苦手な方は、一度試してみる価値があるのではないでしょうか。