どうも、奨学金1500万プレイヤー阪大生のPEN(@PENwitmi)です。
以前の記事でも紹介しましたが、2020年4月以降はJASSOの奨学金の在学猶予の上限が10年に定められました。
これまでは無期限だった在学猶予上限ですが、それが10年の上限になることでどんな影響があるのか。
また、どういった経緯で上限が設けられたのかなどを調べてみたので、記事として共有しておきたいと思います。
在学猶予上限が10年になったワケ
在学猶予とは
JASSOの在学猶予とは、「正規の大学に所属している間は奨学金の返還を猶予してもらい、卒業後から返還することができる」という制度です。
例えば、学部生の間に借りていた奨学金は本来、卒業後の10月から返還が始まります。
しかし、大学院に進学して「在学猶予届」を提出することで、返還のスタートを大学院を卒業する年まで伸ばすことができるのです。
大学院でも学費がかかっているわけですから、当然の措置と言えます。
大学院でなくても、例えば再受験後の大学でも同様です。
通信制大学による、無限在学猶予
この在学猶予制度ですが、正規大学課程とみなされる大学であればどこでも申請できるので、放送大学の在籍でも適応されます。
放送大学は「生涯教育」の場なので、卒業しても何度でも入学が可能ですし、ずっと学生でいることができるのです。
なので、その気になれば、奨学金の返還が死ぬまで猶予され続けることだって可能だったわけです。
このことが社会問題として国会の議題にまで挙がり、ついに今回その対策が打たれたということですね。
最大10年まで新規に在学猶予が可能
2020年4月の時点では、JASSOのスカラネット・パーソナルに通知が出ているだけでしたが、改めてJASSOのサイトを確認してみるときちんと文言が追加されていました。
(そのときに私が見つけられなかっただけかもしれませんが…)
令和2年4月より、在学猶予取得可能年数が通算10年に変更になります。
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/henko/zaigaku_yuyo.html
詳しい計算方法などはこちらのページで紹介されています。
2020年3月までの在学猶予期間はノーカウント
さて、これまで無制限だった在学猶予期間に、改めて10年の上限が設定されたことがわかってもらえたと思います。
ここで重要になってくるのが、すでに在学猶予を利用している人の扱いです。
先に結論から言ってしまうと、2020年3月までの在学猶予はノーカウントで、4月以降の在学猶予から改めて10年カウントされます。
つまり、ここまでどれだけ在学猶予を利用していたとしても、新たに10年は在学猶予を受けることが可能です。
私の場合、大阪市立大学の奨学金は既に6年間の在学猶予を利用していましたが、2020年3月以前であるためにノーカウントで、10年の在学猶予を受けることができます。
パターン解説
ここからは、JASSOサイト内にある上限の考え方について、解説していきます。
図や説明を見ても少しわかりにくかったので、できるだけ具体的に説明しようと思います。
なおここから話す内容はすべて、2020年4月以降に適応される在学猶予の話です。
どのパターンであったとしても、2020年3月以前のものは、ノーカウントです。
例1:2020年4月以降、大学在籍中の年数は在学猶予年数にカウントする
たとえば、大学Aに進学して奨学金を借りたものの、中退し、大学Bに進学したような場合です。
他には、大学Aを卒業したあと、大学院Cに進学した場合ですね。
大学Aで借りていた奨学金の返還は、大学Bに在籍している間は猶予されます。
大学Bに4年在籍した場合、大学Aのときの奨学金の在学猶予は残り6年ということになります。
大学Aと大学院C、という場合でも同じように考えることができます。
(その場合も、大学院Cの在籍年数分が10年から引き算されます)
また、後述しますが、大学Bでも奨学金を借りた場合は、大学Bの奨学金の在学猶予は10年まるまる残っています。
例2:2020年4月の時点で大学Bにすでに在籍中で、在学猶予もすでに受けていた場合
例えば、2020年4月の時点で大学Bの3年次に在籍していて、大学Aの奨学金の在学猶予を受けている最中という場合です。
この場合、3年次と4年次の2年間だけが在学猶予年数にカウントされるので、卒業後には8年残っていることになります。
このとき、1年次と2年次の在学猶予は2020年3月以前のものなので、ノーカウントになります。
例3:2020年3月までの間に、すでに10年以上の在学猶予を利用してきた場合
通常、10年以上の在学猶予を利用するというのはかなりのレアケースですが、おそらくこれに当てはまる人のほとんどは放送大学にずっと在籍してきた人かと思います。
この場合も、2020年3月以前のものはノーカウントなので、2020年4月以降に新たに10年の在学猶予が利用可能です。
邪推ですが、このことから2030年度以降は放送大学の在学者数が少し減ってしまうかもしれません。
在学猶予制度がなかったとしても、非常に素晴らしい学びの場ですから、そんなことは起こらないでほしいなと個人的には思いますが…。
あまり考えたくはないですが、2030年以降に放送大学の在籍数が減ることがあったとしたら、この影響かと考えられます。
奨学生番号が複数ある場合
それぞれの奨学生番号でカウント
1つ目の大学で奨学金を借り、2つ目の大学(大学院)でも奨学金を借りた場合には、奨学生番号は複数持つことになります。
他にも、第一種奨学金と第二種奨学金は、同時に借りていたとしても別の奨学生番号が割り振られます。
このように1人で奨学生番号を複数持つことは珍しくありません。
私の場合は、大阪市立大学の第二種奨学金、大阪大学の第一種奨学金、第二種奨学金と、3つの奨学生番号を持っています。
この場合、それぞれの奨学生番号について、最大10年の在学猶予を受けることが可能です。
例
例えば、1つ目の大学(A大学)で奨学金を借り、2020年4月以降に再受験して2つ目のB大学(6年制)でも奨学金を借り、更に大学院C(4年)に進学した場合、を考えてみます。
大学Aの奨学金の在学猶予は、大学Bの6年+大学院C4年で10年の在学猶予を受けたことになります。
ですが、大学Bの奨学金については、大学院Cの4年間しか在学猶予を利用していないことになります。
また、大学院Cで借りた奨学金は、卒業してからまだ在学猶予を受けていないことになります。
ここでこの人が通信制大学に所属して、在学猶予を受けようとすると、
大学Aの奨学金…上限10年に達しているので不可→返還開始
大学Bの奨学金…残り4年の在学猶予が可能
大学院Cの奨学金…残り10年の在学猶予が可能
というように、別々に考えることになります。
ただし2020年4月までのは全部ノーカウント
先ほどの例は、2020年4月以降に在学猶予を始めて適用される場合の話です。
なので、入学がそれよりも前になっていると話は大きく変わります。
例えば大学院Cの進学が2018年の場合は、
大学Aも大学Bも在学猶予は2年しか消費しないので、大学院卒業後は残り8年残っていることになります。
まとめ
現時点(2020年7月)では、在学猶予の最大10年について、これまで在学猶予を使っていたかどうかをほとんど考える必要がありません。
2020年4月までの猶予年数は、この上限には一切カウントしないからです。
私の場合、大阪市立大学の奨学金は既に6年間の在学猶予を利用していましたが、2020年3月以前であるためにノーカウントで、10年の在学猶予を受けることができます。
大阪大学のときに借りていた奨学金についても、同様に10年でした。
今後、再受験や、大学院への進学、通信制大学への入学を検討している人の参考になれば幸いです。