どうも、PEN(@PENwitmi)です。
高校時代のバイト先の先輩は私と同じギタリストで、音楽という面でも先輩でした。
そんな先輩がある日私に言った名言が、
「女を知ったらギターの音は変わるねんで。嘘やと思ってるやろ、マジやからな」
当時高校一年生で交際経験も無かった私は「この人はマジで何を言ってるんだろう」と思っていました。
そんな非科学的な。
で、そこから10年以上経った今、改めて思うことがあります。
「人生経験でギターの音は変わるのではないか」
ちょっとソフトになっただけで、言ってる内容に大差ありません。
今回は私がそう感じた理由と、エモいギターについて書いてみようと思います。
同じ感情を経験すれば、気持ちが歌詞に乗る
ギターの話をする前に、少し歌の話をしましょう。ボーカルのことですね。
最近ひしひしと感じているのですが、歌詞を感情的に歌うためには、その歌詞を理解する必要があります。
歌詞を理解するというのは、日本語的にわかるとか、論理的にわかるとかそういうのではありません。
同じ境遇に立って、同じ感情を経験するということです。
例えば極端に言うと、情熱的な恋愛をしている人と、人を好きになったことがない人では、ラブソングに乗せる気持ちが全然違います。
他人が作詞した歌詞ではあるものの、感情の経験者は歌いながら何かを感じることができるのです。
それが細かい表現やエモさにつながります。
一人の男から父親になった先輩のミスチルのHEROはすごかった
先日高校の部活の同窓会兼LIVEみたいなものがあったんですが、父親として歌うミスチルの「HERO」はそれはそれは凄かったです。
奥さんとか、お子さんとか、いろんな人への想いが乗っているのを感じました。
多分、恋愛したことのないプロの歌手より、一人の父親が歌うほうが心に来ますね。
ああいうのを、訴求力っていうんでしょうか。
Message in a bottleを歌った
そのLIVEで私も不慣れながらベースボーカルをしたんですけども、やはり歌詞の意味を感じられる曲とそうでない曲では感情の乗り方が違います。
個人的にはThe Policeの「Message in a bottle」の歌詞がグサグサ来るので、それがやはり歌に反映されている気がします。
私はまだTears in heavenは歌えない
Eric Claptonの曲に「Tears in heaven」という曲がありますが、これは死別した息子に向けられた曲です。
私は死別はおろか、子どもが出来たことすらもありませんから、歌詞の意味はわかっても、感じることができません。
多分歌っても、全然説得力のない演奏になってしまいます。
エモいギターを弾くには曲を感じる必要がある
ギターの話に戻します。
ギターは楽器なので、直接歌詞を口にすることはありません。
ただ、そもそも曲というのは歌詞に合わせて、その感情をコードや音使いで表現しているものです。
なので、ギターの音を上手く調和させるのには、どうしてもその感情を再現する必要があります。
雰囲気だけ近付けるのは簡単ですが、やっぱり心に響く演奏が出来るかどうかという点では感情は欠かせません。
多分表情とかにも影響するのでしょう。
ギターの表現と言っても、生の演奏の場合は音だけじゃくて視覚情報もありますから、「顔で弾く」のもかなり重要な要素です。
シルエットだけでエモくないですか?
上手いギターとエモいギターは別
正確に弾く、速く弾く、などの技術に満ち溢れたギターの演奏を聴くと、上手いなと思います。
それとは違い、多少下手でミスをしていても、そこに感情が込められているギターの演奏はエモいなと感じるはずです。
これは歌についても同様ですね。
上手いのに越したことはないかもしれませんが、歌が“上手く”ない人気シンガーなんかもいます。
ギターについては、“上手く”ないブルースギタリストはいっぱいいますが、“エモい”音を出していれば演奏に引き込まれますし、やはり人気になります。
私はギターは上手く弾くのは苦手なので、どうにかエモく弾けないかと考えながら演奏していることが多いです。
歌うようにギターを弾く
エモいギターを弾くために、まず最初に意識するべきことは「歌うように弾く」ことです。
歌うように弾くために私が実践していることは沢山あるのですが、少しずつ分解して紹介します。
いずれにせよ、エモいギターソロは一旦頭の中で、もしく実際に歌ってみることが大切ですね。
強弱を確認する
ギターのフレーズを実際に歌ってみると、無意識のうちに強弱を付けていると思います。
むしろ完全に音量などを一定に歌う方が難しいはずです。
その強弱のポイントを、ギターの演奏にも反映させます。
具体的にはピッキングの強弱が変化しますね。
強く弾くところを意識するよりは、どこを弱くするかを意識した方がいいと思います。
ここを強く、というのは多くの人が実践していますが、ここを弱く、というのが出来ていない人が多いからです。
息継ぎの位置を考える
実際に歌う場合には、かならず息継ぎが必要なはずです。
この息継ぎの位置をどこですればいいのかを、本気で考えてみます。
ギターの演奏の場合ずっと音を出し続けられてしまう分、すこしのっぺりとした印象を抱かせてしまいます。
息継ぎを意識して音を区切ることで、演奏にも抑揚を出しやすくなると私は感じています。
また、しっかりと息継ぎを出来るところと、一瞬しか息継ぎできないところの違いも注目ですね。
しっかりと息継ぎをしたということは、その直後の音をしっかり出すための準備をしたはずなので、ピッキングやブラッシングでそれを音として表現したいところです。
ビブラートとチョーキングを駆使する
初心者は実践できていないことが多いのですが、単音でギターを弾くときは常にビブラートをしてください。
楽譜やTAB譜には書いていないことが殆どですが、ギターの単音弾きでは4分音符より長いときはビブラートをしているのが基本です。
中級者以上は無意識に常にビブラートをするので、「ビブラートをしよう」と思ってすらいません。なので楽譜にも書いていません。
ギターはその楽器の特性上どうしてもピッチが合いにくいので、ビブラートをかけることで初めて綺麗な音になります。
もし楽譜にビブラートが書かれていたときは、「普段のビブラートよりも更に意識してビブラートをしろ」という意味です。
ここだけビブラートをしろという意味ではないのでご注意を。
さて、ビブラートとチョーキングというのは、フレットで決められた音から少しズラした音を出すテクニックですよね。
歌の場合はフレットのように決められた間隔が無いので、自由な音階の声を出すことができます。
それに対してギターはフレットで決められた音階の音しか出すことができないので、どうしても無機質な音になってしまいがちです。
これを補うのがチョーキングですね。
チョーキングやビブラートを練習すれば、すごく絶妙な音程の音も自由に表現出来るようになりますから、より歌に近づくことになります。
タイミングを後ろにズラす
メトロノームのような精度でギターを弾けるのは上手いギタリストですが、エモいギターを追求するとジャストのタイミングだけが正義ではないということに気付きます。
人の感情というのは一気に爆発するというよりは時間をかけて登っていくものなので、それを時間差という形で表現します。
具体的には、ブラッシングでピッキングのタイミングそのものを遅らせる以外に、スライド、チョーキングを使う手があります。
スライドもチョーキングも、ピッキングしてからゴールの音に到達するまでに時間差があるので、タイミングを後ろにズラす効果があると考えています。
実際に、意図的にゆっくりとチョーキングをするという技法(ポルタメントチョーキング(Port.Cと記載される))もありますしね。
車のアクセルを踏み込んで徐々にブロロロと音が変化するのに高揚する人も、踏んだ瞬間に工事現場のようなバババとウルサい音が鳴るようなエンジンには魅力を感じないでしょうね。
多分同じ原理です。
理論的にエモい部分を強調する(中級者以上)
ちょっと歌とは関係ありませんが、音使いに注目してエモさを強調するという手段もあります。(分からない人は飛ばしていいです)
分かりやすいのが、クリシェの上昇進行になっている音。
フレーズ中のクリシェ音をピックアップして、その音が上昇するにつれて、ピッキング強度も上げていくことでエモさが表現できます。
クリシェに限らず、経過音に注目して同じことをすることが可能ですね。
経過音から繋がってきた最後の音は、基本的にエモさのピークだと思ってもらえるといいでしょう。
そのピークの直前の経過音は、まさに感情が湧き上がってくる部分なので、そこをしっかりと強調してピークで更に爆発、みたいなイメージです。(分かりにくくてすいません)
なので、dimなどの♭5コードの時は感情表現が分かりやすいですよ。
音楽理論をちょっとだけでもかじっていれば、演奏にも反映できますね。
ライブ映像
ライブ本番なのでそこまで完璧に意識できていないですが、実践するとこんな感じになります。
ちょっとミストーンとかあって恥ずかしいですが。
エモいギタリストになろう
さて、精神論みたいなものから始まり具体的な方法まで紹介してきましたが、今回のテーマは「エモいギター」でした。
ちょっとタイトルで釣っている気もしますけどね。
ギターの上達のためには、やはり様々な経験をするのが一番です。
私の人生は割とハチャメチャな方だと思います。
私自身もまだまだ精進しなければならないのですが、少しギターに慣れてきた初級者の参考になれば幸いです。